
作家インタビュー
第八夜
机の上の地球儀 『裸のうなじ』
①今回オマージュすることが決まってから読んだ第八夜の印象はどうでしたか?
客が鏡越しに見る窓の外は普通の光景のようで、その実、現実感が薄く、しかしやはりリアルで。じわじわと漂う不安感が、最後の最後までちゃんと証明されないという不気味さ。それが読了後にも尾を引く作品だなと思いました。
②今回の作品は第八夜の何処から着想を得ましたか?
「床屋」「鋏」「金魚」そして「庄太郎と一緒に歩く女」…その4点に注目して、私らしく書こう!と思った時に、既に同じモチーフの作品(「舌切りすゞめ」と「それは何度目かの葛籠の中で」)を書いていたので……今回は同じモチーフ、同じ流れの話を「どれだけ静かに進めるか」に注力して書き上げました。既存の作品とは違い、叫ばずに深夜でもじんわり真綿で絞められるように遊べる話になっていたらいいなと思います。
③作中のあなたは、地球儀さんの中で今後どんな人生を送っていくと思いますか?
「母親だという女性」や「勤めている会社の上司だと譲らない男性」。「恋人だと宣う男」に、その男と異常に仲がいい「親友を名乗る女」……。彼らからの電話や来訪に怯え、そのまま彼らに無理矢理精神病棟に入れられるかもしれないし、恐怖から早めに引っ越して案外すっきりと新しい人生を歩み始めるかもしれない。とは言え、後者の場合は役所に謄本を取りに行ったりすれば、すぐさま誰が「おかしい」のか、瞬時に理解してしまうのでしょうが。
④美容室に訪れることが出来る条件はありますか?
きっとそんなものはないのです。それはある時突然に、「あなた」の目の前に現れる。それは、あなたの過去を顧みれば真っ当な救いのように。それは、あなたの未来を慮れ理不尽な災難として。
⑤改めて企画声劇夢十夜参加をして一言お願いします。
企画概要を聞いた時にまず「天才か!?」と思いました。こんなのみんな好きじゃん!改めて夢十夜を読むきっかけにもなるし、皆がそれをどう解釈して作品に変えて行くか楽しみだし、演じるだけでなく読み物としても楽しめるような作品が集まること請け合い!そんな素敵な企画に参加できたこと、本当に嬉しく思います。声劇台本だけど、良ければ地球儀のは朗読としても読んで欲しいな~~~!
⑥他、台本について話したい内容がありましたらお書きください。
持って生まれた環境も才能も。そうして過ごしてきた今までの過去も。どうしたって鋏でじょきんと切って切り離すことなど出来ません。だからと言ってそれを絶対に愛し続けなさい、感謝し続けなさい、なんて酷な話。あなたの辛さはあなたにしか分からないのだから、無理せずまったり、とりあえず、今日と言う一日一日をやり過ごして行きましょうね。